研究紹介
素粒子物理実験に特化した専用ビームラインを建設し、世界唯一の実験に取り組む!
東海村J-PARCのMLF(物質・生命科学実験施設)の基礎科学に特化したミューオンビームライン(H-ライン)に設置する実験装置の設計・建設に取り組んでいます。
我々のグループは、①光の94%まで再加速されたミューオンを蓄積磁石までの輸送、②超伝導磁石内部の入射技術、③ビーム入射後の蓄積軌道の制御、④各ステップでのビーム診断、に取り組んでいます。
研究拠点は茨城大学東海サテライトキャンパス(東海村白方、J-PARCのすぐそば)です。高エネルギー加速器研究機構(KEK)や日本原子力研究開発機構(JAEA)の共同研究者達と密接な協力体制をもって研究を進めています。
3次元螺旋軌道ビーム入射手法の開発
蓄積磁石入射点に於けるビーム位相空間に、適切なX-Y結合のを与えるために、ビーム力学より定義される8つのパラメータを制御します。右図に示す蓄積磁石へのビーム輸送ラインは鉛直方向に4m下がる26度の傾斜路に任意角度に回転する機構をもつ4極磁石を7つ配置する設計です。各回転4極につき、2つのパラメータ制御が可能であり、十分な冗長性を持たせており、ビーム位相空間を任意に成形可能です。この輸送ライン上、およびビーム入射点におけるビーム断面測定用モニターの制作とビーム調整システムの構築にも組んでいます。一般向けの3次元入射手法の説明、キッカー装置設計、用語の説明は文字をクリックしてください。
能動的磁気遮蔽機能付き電磁石
Active Shield Steering Magnet
3テスラの強い磁場中では鉄はもちろん、磁化する材質は一切使用できません。安全面の問題はもちろん、超均一に調整された磁場に誤差要因を与えないためです。しかし、入射ビームの軌道制御の為には動的な磁場制御装置も必須です。相反する要求を満足するために鉄を一切用いない、2層構造の銅線コイルパターンが作る磁場発生装置を開発しています。電磁気学の知識を駆使し、医療用MRI磁石の技術を応用した最先端の装置作りに取り組んでいます。より詳細な磁場計算の情報はコチラ
3次元螺旋軌道入射の実証実験
(KEKつくばキャンパス)
高エネルギー加速器研究機構(KEK)のつくばキャンパスに電子銃を用いたテストビームラインにて、原理実証実験に取り組んでいます。本番よりも3分の1スケールのさらに小さい蓄積リング(1周0.75m)に80keVの電子ビームを蓄積します。手づくりの小型ビームラインながらも本番実験に必要な技術要素は全て含んでおり、ここでの知見をJ-PARCの本番実験用ビームラインの建設に反映させます。また、博士課程・修士課程学生達の実践経験の場になっており、多くの論文成果発表も出ています。複数の科研費を獲得し、2014年より装置建設・運用をしています。日々の活動記録もご覧ください。最新の結果はこちら